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書名: 言葉がない時、沈黙の語りに耳を澄ます
副題: EMDR療法による早期トラウマの修復
著者: サンドラ・ポールセン
絵: サンドラ・ポールセン
監訳: 大河原 美以・白川 美也子
出版社: スペクトラム出版社
仕様: A4変型  280 X 210mm 並製
本文: 240頁
定価: 3600円(本体)
ISBN 978-4-902082-24-1 C0047
発売: 2018年10月1日
       
紹介文
「どうしてこんなに悲しいの?」「なんだか見捨てられた感じ」……こんな不思議な気分が、赤ちゃんのときの記憶と関係しているかもしれません。この本は、乳幼児期ーときにはそれ以前の人生早期に起きたトラウマやアタッチメントの傷つきに対するEMDR療法を用いたアプローチ:早期トラウマアプローチを紹介しています対象となる人は、解離性同一性障害など解離症状のある人ばかりでなく、身体化症状やアタッチメント課題をもつ人まで多様です。
映像も言葉も伴わない早期トラウマに対して、編み出された①情動回路のリセット、②時間枠統合のステップはEMDRの標準プロトコルに、生物学的脳基盤と発達の観点を考慮にいれた素晴らしいイノベーションです。著者の手になる魅力的な図版は臨床家のみならず、心の成り立ちを知りたい人の自己理解にも役立つでしょう。(前袖より)

著者
サンドラ・ポールセン
アメリカ合衆国ワシントン州在住の臨床心理学博士。国際トラウマ解離研究学会会員。 国際EMDR協会(EMDRIA)公認のEMDRのコンサルタント。EMDRと自我状態療法を合わせた治療法を開発し、トラウマによる解離症状治療の第一人者として、全米各地で講演や執筆ならびに相談活動を行っている。 ワシントン州ベインブリッジ・アイランドに「ベインブリッジ統合的心理学協会」を共同設立し、そこでは主として、最先端のEMDR療法・自我状態療法・ソマティック・サイコセラピーに、ネイティブアメリカンなどの古来のヒーリング法をとりいれた治療法を提案している。 2009年と2018年日本EMDR学会の招聘に応じて来日し講演。
著書:『図解臨床ガイド トラウマと解離症状の治療: EMDRを活用した新しい自我状態療法』東京書籍 2012年、『私の中のすべての色たち』共著 スペクトラム出版社2017年

監訳者
大河原美以(おおかわら みい)
東京学芸大学教育心理学講座 教授。博士(教育学)・臨床心理士・家族心理士・学校心理士。専門は、子どもの心理療法・家族療法。1998年よりEMDR療法を実践し、子どもの心理的問題の解決のために個の問題と環境の問題をシステミックに見立て統合的な心理治療を行うことを提唱している。

白川美也子(しらかわ みやこ)監訳
こころとからだ・光の花クリニック院長/スペース白い花 主宰。乳児院や里親グループ、児童相談所とも協働。日本トラウマティック・ストレス学会理事、日本EMDR学会理事(ファシリテーター、認定コンサルタント)、NPO法人女性の健康と安全のための支援教育センター理事、日本子どもの虐待防止学会代議員、他

対象読者
トラウマ治療にかかわる臨床心理士、医師、治療される側の方(クライエント)

目次
第1章 概論―なぜ、早期トラウマ・アプローチが必要なのか
第2章 情動・トラウマ・アタッチメントを神経生物学的に考察する
第3章 統合へのアプローチ
第4章 トラウマ処理の準備作業にはどんなものがあるか
第5章 複雑性トラウマの事例における準備―自我状態療法など
第6章 ETアプローチにおけるEMDR療法の技術的な修正
第7章 準備―コンテインメント
第8章 準備―腹側迷走神経系のリソース化
第9章 情動回路について
第10章 情動回路のリセット―その神経生物学的考察
第11章 情動回路のリセット―その手順
第12章 時間枠統合―概念
第13章 時間枠統合―基本手順
第14章 解離のあるクライエントのための高度な時間枠統合
第15章 最後に

参考文献
資料A 集中フォーマットによる治療
資料B 実践的なテクニック
資料C 加害者の取り込み像にはたらきかけ、攻撃者への忠誠心を軽減する
資料D 複雑性トラウマや解離のあるクライエントの、セッション終了時のコンテインメント
資料E O'SheaとPaulsenによるオリジナル・ワークシート
資料F Paulsenによる修正ワークシート